伝説のフリーゲーム「1999ChristmasEve」をレビュー!

「1999ChristmasEve」とは、2000年12月27日にリリースされた無料のPCゲームだ。電子小説(ノベル)の形をとりながら、プレーヤーの選択次第でストーリーの展開が変わっていく、アドベンチャーゲームの要素も兼ねている。

このゲームはWindows7や8.1、Windows10がインストールされたパソコンで動くようだ(筆者の経験より) 1。AndroidやiPhoneなどのスマホやタブレットでは、プレイできないので注意してほしい。

小さな個人の集まり(YKFC)で開発されたゲームだが、グラフィックやBGMもすべてオリジナルで作ったそうだ。そしてストーリーも、Readme.txtによれば「20万文字以上のシナリオが百以上の分岐」とかなり作り込まれている。

また、完全無料のPCゲームなので、スマホのソーシャルゲームのように課金する必要は全くない

しかし最近では入手が難しくなりつつあるので、もはや「幻の名作」といってもいいだろう。公式サイトも15年ほど前に閉鎖されて現在は消滅し、唯一ダウンロードできたdownload.co.jpも、今では別のサイトに置き換わっている。ちょうどInternet Archiveに、古いサイトのミラーが残っていたので紹介しておこう。

ただ、幸いなことに筆者の手元には、download.co.jpが健在だったころにダウンロードしたデータがある(10年ほど前だろうか?)。リリースされてから約20年が経ちそうなので、この機会にレビューさせていただく。

あらすじ

時は世紀末の1999年、デートするには最高のクリスマスイブの日。いまだ友達の段階であるヒロインの本音を知るべく、スキーに誘った主人公は長野へ向かっていた。

しかし不幸にも、途中で自動車はエンスト。ラジオや携帯電話からは不気味な声がして、点検しようとしたボンネットの中には、気味の悪い目玉が潜んでいた。

闇夜に鳴り響く鐘に誘われて、無人の教会へ向かった二人は、凄惨な光景を目の当たりにする。

建物の壁際に散在する人骨の山。ゾンビやボウガンで武装した殺人鬼に追われ、挙げ句のはてには悲しい笑みを浮かべる亡霊に遭遇して気を失う二人。

森羅万象の法則を裏切る、人間の想像を超えた現象を味わった彼らが、幾度も訪れる生命の危機を乗り越えた先に見つけたものとは……。

感想

彼女が説く「運命」とは?

憎しみしか知らない昨今の世界情勢のなか、「人間は本来どうあるべきか」という深いテーマを、ゲームでは問いている。

だからかプレイしていると、「こうあるべきだ」という話があちらこちらに出てくる。
人によっては、そういう話題が苦手な人もいるだろう
ちなみに筆者は、レビューを書いていて「人とは考える葦である」というフレーズを思い出した。

製作総指揮のPIA少尉さんも説教臭さを認めているようで、「寛大な気持ちで「どれどれ、素人の作品だけど、ヒマだから読んでやろう」という程度のお気持ちでプレイしてくだされば、開発者として幸いです。」とコメントしている。

だから、ゲームに壮大な物語を求めている人や、「なんか最近、熱中できる壮大なゲームがほしい」人には、うってつけだ。

そして宗教や思想への「こだわり」が特にない人「ゲームはゲーム」と割り切れる人なら、より良いだろう。

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筆者おすすめのエンディングとは

ところで。この「1999ChristmasEve」には、物語の終焉となるトゥルーエンドだけでなく、理不尽すぎるバッドエンドから後味の悪いグッドエンドまで、様々なエンディングが用意されている。その数は、なんと30以上もあるそうだ。

その中で筆者のおすすめは、「あたしのヒーロー」だ

「あたしのヒーロー」あらすじ

凶暴な殺人鬼から何とか逃げ延びた主人公たちは、地下へ続く回廊へたどり着く。

上にも下にも逃げ場のない空間で、しばらく考えた主人公は、とある重大な決断を下す。

それは、愛するヒロインをおとりにして、自らの手でおびき寄せた殺人鬼を倒すことだった――。

「あたしのヒーロー」の感想

さて昨今のネットやTwitterを見ると、あらゆるトラブルを理路整然に解決する、マクドナルドなどにいた通りすがりのクールな女子高生」が持てはやされる

自分もネットスラングやジャーゴン、テンプレの起源を探る試みは大好き(たとえばをご覧ください)なのですが、文章やシチュエーションが複雑になればなるほど難しい。そんな難しい調査に、ジェット・リョー@i..

しかし何だかんだと言っても、だれかを守るために男がたった一人で強敵に立ち向かう」ストーリーには誰しも燃えるはずだ。私も、「己の全てを掛けて大事な人を守る」「絶体絶命的な状況下で『いま自分が、できる・すべき事』に全力を尽くす」という話が好きだ。

作者のPIA少尉さんも、今なき1999ChristmasEve公式サイトの「エンディングよもやま話」にて、「愛するものを守るために、今まで一度も戦ったことのない人間が戦いに挑むという純真にて崇高な姿は、かく申す少尉は大好きでありまして、(中略)思わず血が滾り、応援してしまいます。」と述べている。

非常に生々しい暴力的な描写が続くが、丸腰の主人公が大切なヒロインを守るため、全力を尽くして殺人鬼に立ち向かう姿は、とてもかっこいい

このシーンだけでしか使われていないBGM「戦闘~血の絆」と共に、文字通り「手に汗を握る」展開が待っているので、血湧き肉躍る描写をぜひとも見てほしい。

他にも魅力的なエンディングが待ち構えているので、是非とも全部みてほしい。
攻略チャートについては、こちらのブログの記事が詳しい。

まとめ

このゲームを初めてプレイしたときの衝撃は、未だに忘れられない。そして、このレビューのために改めてプレイすると、学生だった当時とは違った、「物語の深み」を感じられる。

初プレイから何年も経って、様々なノベル方式のアドベンチャーゲームをプレイしてきたが、これほど面白いゲームはあまりなかった。

やはり、1999ChristmasEveが一番おもしろいだろう。

私もいつかは、これらのような壮大な物語のノベルゲームを作りたい。しかし、その原作となる小説を書くのが大変だ。

「物語」を作る難しさを実感するとともに、改めて、「1999ChristmasEve」を作り上げたPIA少尉さんたちに、お礼を申し上げる。

Notes:

  1. ReadmeによればWindows95や98、NT4.0、ME、2000で動作するらしい
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