「PCオーディオ」とは、パソコン(PC)を音楽プレーヤーとして使うオーディオのことだ。スマホにイヤホンを使うのとは違って、アンプやスピーカーなど据え置きのオーディオ機器を組み合わせるので、迫力のある音が楽しめるのだ。
CDや古いレコードから取り込んだ音楽や、iTunes Storeなどで売られているオーディオファイル(音源という)を、たくさん保存できるのも大きなメリットだ。
しかし、いい音で楽しむなら何万円~何十万円もするDACやアンプが必要だ。ところがNFJ(ノースフラットジャパン)の「FX AUDIO」なら、とても安く手に入る(送料別)。
DACとは「Digital – Analog Converter」の略語で、パソコンなどで使われているデジタル信号を、音声の電気信号に変換する機械だ。FX AUDIOなら、USB接続専用のDAC「FX-00J」が、税込み2,280円である。
アンプ(パワーアンプ)とは「増幅(Amplitude)」の3文字から取った略語で、DACで変換された電気信号を増幅(Amplitude)して、オーディオスピーカーを鳴らすオーディオ機器だ。こちらは「FX202A/FX-36A PRO」だと、税込みで3,480円(AC電源アダプター別売り)。
この他にスピーカーやオーディオケーブルが必要である。しかしFX AUDIOは、出費を抑えながらPCオーディオ環境が作れる、とてもよい製品だ。
注意事項
この記事で書いている製品の価格は、2018年4月15日現在の値段である。
これ以降に紹介する製品も同様なので、注意してほしい。
D302J+とFX-02J+でコスパよく作る!
さてPCオーディオを構築するなら、安さだけでなく「音質」にもこだわりたい。そこでコストと音質のバランスが取れている、プリメインアンプのD302J+とFX-02J+というDACを選んだ。
ここにオーディオスピーカーと、前回の記事で紹介した真空管プリアンプ「TUBE-01J+」を組み合わせた。
格安PCオーディオの構成
プリメインアンプD302J+
プリメインアンプとは、「多機能なパワーアンプ」である。オーディオスピーカーを駆動させるパワーアンプの役割だけでなく、音質の調整や音声入力の切り替えの機能まである。
「FX-AUDIO- D302J+」とは、「FX AUDIO」のアンプの中でミドルレンジモデルに分類されるプリメインアンプである。
アナログの音声入力(赤白の端子)だけでなく、光ケーブルや同軸ケーブルを使ったデジタルの音声入力(S/PDIF)やパソコンとのUSB接続にも対応している。
イヤホン出力や音質調整機能まで備えていて税込み7,980円と、市販のプリメインアンプと比べれば、とても安く買える。
大阪の日本橋を歩いていたとき、このアンプが真空管アンプと一緒に店頭 1に展示してあったので、思わず買ってしまった。
DAC FX-02J+
このDACは、FX-00Jと同様にUSB接続専用のDACである。しかもDACの心臓部には、「WM8741」という超高級オーディオでも使われるような高音質のコンバーター(DAC IC)が使われているのだ。
WM8741によるアナログ音声出力と、同軸デジタル音声出力の2系統が用意されており、お値段は税込み4,480円と、思ったより安い。
NFJ公式ブログに発売の予告が載っているのをみて、思わず買ってしまったDACだ。
プリメインアンプのD302J+や真空管(プリ)アンプTUBE-01J+と組み合わせるにはピッタリである。
真空管プリアンプ TUBE-01J
真空管とは、大昔のオーディオ機器に使われていた電子パーツである。前回の記事でも書いたが、これをオーディオ機器に使うと、現代にありふれたトランジスタやICなど半導体を使ったオーディオ機器とは違う感じの音になるそうだ。
普通だったら何万円もする超高級アンプにしか使われていないが、FX AUDIOのTUBE-01Jなら4,480円と安いのだ(税込み,ACアダプター別売り)。また交換用の真空管も売られているので、真空管ごとの音の違いも楽しめる(これを球転がしという)。
FX-02J+にはアナログ出力があるので、TUBE-01J経由でD302J+のアナログ音声入力(AUX)で使うと便利だ。
TUBEシリーズ 交換用真空管2個セット ミルスペック選別グレード品
D302J+のスピーカー選び
この記事で作った「PCオーディオ」では、パイオニアの「S-LM2」というスピーカー(正確にはリアスピーカーのセット「S-LM2-LR」)を使った。
なぜなら、ディスプレイの横に置いて使いたいので、超小型のブックシェルフスピーカー 2が欲しかったからだ。しかも、2個で税込み8,520円(購入当時)と格安だった。しかし今では、廃盤(旧製品)になっている。
価格.comの「スピーカーの選び方」によれば、以下のようなスペックのスピーカーが良いとされている。
- インピーダンス4〜8Ω
- 能率85dB〜95dB
インピーダンスは「電流の流れにくさ(電気抵抗)」、能率は「同じワット数で1m離れたところへ届く音量」を表している。特に大切なのはインピーダンスで、パワーアンプの性能に合ったスピーカーを選なければ、壊れてしまう。なおD302J+では、4~16Ωである。
もし次に買い換えるなら、「JBL STAGE A130」を選ぼうと考えている。
JBLとは、かオーディオ雑誌でいつも紹介される、とても高価なスピーカーを製造しているメーカーだ。そのような高級メーカーが出したという、お手軽な価格のスピーカーを是非とも試してみたい。
実際の組み立て
DACとアンプの接続
先ほど書いたとおり、FX AUDIOのDAC「FX-02J+」には、アナログとデジタル(同軸)の音声出力がある。
またプリメインアンプのD302J+には、アナログ(赤白のオーディオケーブル)とデジタル(光または同軸ケーブル)の入力、そして今回は使わなかったパソコンからのUSB入力がある。
そこでDACのアナログ音声出力は、真空管プリアンプのTUBE-01Jを経由してD302J+のAUX入力へ接続。デジタル音声出力は、そのままD302J+へ直結した。
これにより、
- 雑音がほとんど入らないクリアなデジタル音声
- 優しい真空管の雰囲気があるアナログ音声
を、D302J+の「SELECT」ボタンで簡単に切り替えることができる。パソコンでの操作は、初期設定を除けば、ほとんど不要だ。
なおアナログ音声の配線に使ったケーブルは、プロケーブル社が販売している「モガミ 2534」モデルを使った。国内産の音楽は、このケーブルが良いらしい。
アンプとスピーカーの接続
プリメインアンプ「D302J+」は、とてもコンパクトなアンプである。そのためスピーカーケーブルを接続するターミナルの間隔がとても狭い。
そこでアンプ側にはバナナプラグ(SharkWire GSC-020)を使った。これを使うことで、ケーブルの配線がとても楽になる。またケーブルの取り回しを考えて、「バナナプラグの後方からケーブルを引き出す」方式を選んだ。
なお、スピーカーケーブルには「Belden 8460」2本セットを使った。こちらもプロケーブル社が販売しているもので、大阪店の店主によると「クセのない音が出る」そうだ。
卓上PCオーディオは続く(まとめ)
私は音楽鑑賞が好きで、できれば「いい音」で聴きたいと願っていた。しかし、とても金がかかる 3趣味で、ほとんど諦めていた。
しかし、ノースフラットジャパン(NFJ)の「FX AUDIO」シリーズのお陰で、ハイレゾ対応の真空管プリアンプつき「PCオーディオ」が安く組めた。
自分でアンプなどを選んでオーディオ環境を作るのは、自作パソコンと似ている。今後もグレードアップを目指し、自分の理想とするオーディオ環境を作っていきたい。
また調べているうちに、真空管アンプの自作キットがあるのを知った。私は電子工作も好きなので、是非とも試してみたい。