脱・PCスピーカーを目指して
前回の記事では、パソコンとPCスピーカーの間に、USB-DAC(外付けのサウンドカード)と真空管プリアンプ(TUBE-01J)を挟んだところ、PCオーディオの音質が向上した。
しかし、3,000円程度(購入当時)とあまり高くないPCスピーカーなので、音質向上には限界がある。
そこでPCスピーカーの代わりに、フルデジタルアンプの「FX-AUDIO- D302J+」と、市販の本格的なオーディオスピーカーを使って、高音質なPCオーディオを楽しみたい。
また、D302J+におすすめのスピーカー選びや接続方法などについても、記事中で述べていこうと思う。
D302J+の対応スピーカー仕様
このプリメインアンプ「FX -AUDIO- D302J+」は、以下の仕様を満たすスピーカーを鳴らすことができる。
- 最大15Wx2(電源12V、4Ω時)
- 対応スピーカー:4Ω-16Ω
つまりこのD302J+は、インピーダンスが4Ωから16Ωのスピーカーに対応していて、4Ωのスピーカーでは最大15Wの出力を得られる。
更にスピーカーの「能率」(または効率、出力音声レベルなど)という値によって実際に出力される音の大きさも変わるようだ。(価格comの「スピーカーの選び方」より)
しかし「4Ωのスピーカーで15Wの出力」や「能率次第で音の大きさが変わる」だけでは、実際どれぐらいの音量になるのかはわからない。 最悪スピーカーかアンプが壊れる可能性が考えられる。
そこで、上で示した2つのサイトを使って、D302J+のレビュアーさんが使われているスピーカーなどのスペックから、実際の出力をシミュレーションした結果、PCスピーカーのように使う場合(スピーカーから1m以内の距離)、計算上は80dB以上の能率を持つスピーカーで問題ないようだ。
また筆者の祖父宅にあった古いスピーカー(Pionner CS-410)を使って、音出しの実験をしてみたが、まったく問題なかった。
この場を借りて、参考にした2つのサイトや、スピーカーを貸してくれた祖父にお礼申し上げる。
D302J+でおすすめのスピーカー
さて、スピーカーには様々な形や大きさがあり、中には2個1セットで100万円以上する物もある。
この記事では、そこまで投資するつもりはない。
ということで、値段も手頃なスピーカーを探した結果、とてもコンパクトな「Pioneer S-LM2B-LR」というスピーカーを選んだ。ちょっと大きめな辞書が2冊分ぐらいのサイズである。
スピーカーとD302J+の配線
このスピーカーは、小型ながら本格的に作られているからか、見た目の割にかなり重量がある。このため、スピーカーを運ぶときは姿勢に気をつけよう。
宅配便の営業所から自宅に持ち帰り、スピーカーの入った段ボールを開けると、厳重な梱包材に包まれて、スピーカーが2個、長いスピーカーケーブルが2本、取扱説明書や保証書が入っていた。
私の場合、ケーブルは短くて十分だったので、付属のケーブルをニッパーでカットして、ワイヤーストリッパーで表面を剥がして、中の銅線をむき出しにした。なおカッターなどを使うときは、ケガにつながるので刃先に気をつけよう。
さて、スピーカーケーブルは、中にある銅線をワイヤーストリッパーなどでむき出しにしてから、アンプとスピーカーにあるターミナルに接続しなければならない。
しかしD302J+は、ターミナルの間隔がとても狭く(写真参照)、針の穴に糸を通すような作業が必要だ。
そこでNFJストアで売っていたバナナプラグを取り付けることで、アンプと安全に接続しやすくした。
オーディオ界では音質的が不利になるらしいが、安全性を考えればバナナプラグがベストだろう。
なおバナナプラグを組み立てるとき、銅線の先端をねじってL字に折り、横の穴から出して巻き込みながら締めるのがコツだ。
D302J+とオーディオスピーカーの音質は?
前回の記事でも取り上げた、シンゴジラより「Persecution of the masses (1172) / 上陸」を再生すると、堂々とした音がPCスピーカーとは違う力強さで、部屋に響いた。
他にも色々と試してみたが、その完成度はPCスピーカーとは比べものにならない仕上がり。
小型のアンプであるD302J+と小型のスピーカー「Pioneer S-LM2B-LR」の組み合わせで、ここまで力強いサウンドが響くとは思わなかった。
これでPCオーディオ環境は、本格的なオーディオスピーカーを導入することで、とても良くなった。
まとめ
これで安いPCスピーカーと別れ、本格的な真空管付きPCオーディオ環境を整えることができた。しかも憧れの真空管付きで、本当にうれしい。
ところで、PCスピーカー編で軽く触れたUSB-DAC「DAC-X5J」は、いま流行しているハイレゾ音源の規格(24bit/96kHz)にも対応しているようだ。
16bit/44.1kHzで記録されたCDや、元のデータをある程度削る不可逆圧縮のAACやMP3とくらべて、音質が良いらしい。
しかしハイレゾに対応したアンプやスピーカーはとても高価なイメージがあって殆ど興味はなかったが、NFJ社のDACやアンプのお陰で、手頃な価格で手に入れることができた。
本格的にハイレゾ音源を楽しむなら、もう少し良いスピーカーやオーディオケーブルが必要と思われるが、それでもハイレゾに近い環境が手に入ったのは良かった。
ハイレゾ音源はどれぐらいの音質だろうか?いつか音源を手に入れてレビューしたい。
ところで、この記事を書いている間にNFJ社から、新しいUSB-DACがリリースされた。
このDACは光デジタル入力/同軸デジタル入力もあるDAC-X5Jとは違って、PCオーディオ専用のUSB-DACだ。しかも商品説明によると、100万円もする超高級アンプなどで使われるハイエンドオーディオ用DAC 「WM8741」を搭載していながら税込み4,480円(送料別)と、「お求めやすい低価格設定を実現。お手軽に超高性能DACの音質をお楽しみいただけます。」だそうだ。
即日完売だったそうだが、思わず2回目の販売がある時に、衝動買いしてしまった。
また、序章で書いたように、真空管プリアンプ「FX -AUDIO- TUBE-01J」は真空管の交換ができる。6AK5や5654といった規格に対応しているので、他の球に交換して違いを味わいたい。
近いうちにレビューしたいと思う。